「昨日も精一杯やったのに、今朝また疲れたまま起きてしまった」
そう感じている朝、ありませんか?
洗濯物を回しながら子どもの朝ごはんを作り、バタバタと仕事へ向かい、帰宅したらまた夕飯・お風呂・寝かしつけ……。毎日フルで動いているのに、翌朝には疲れがリセットされていない。
「これだけやっているのに、なぜ疲れが取れないんだろう」と感じるなら、それはあなたの努力が足りないのではありません。
私自身も、三姉妹の子育てをしながら精神科でフルタイム勤務を続けてきた中で、同じ壁に何度もぶつかりました。ナースとして患者さんのメンタルケアをしながら、家では母として走り続ける日々。“疲れをどこに置いていけばいいかわからない”感覚は、今でも鮮明に覚えています。
問題の本質:「疲れ」には2種類ある
多くのワーキングママが見落としているのが、疲れには「身体の疲れ」と「脳(こころ)の疲れ」の2種類があるという点です。
身体の疲れは、睡眠や休息でかなり回復できます。でも、脳の疲れは寝ても取れないことが多い。
精神科の現場で学んだことのひとつが、「思考が休まらない状態が続くと、身体はちゃんと眠れていても”疲れた感覚”が消えない」ということです。
「明日の保育園の準備は?」「上司に言われたあの一言、どういう意味だったんだろう」「来週の参観、仕事を抜けられるかな」——布団の中でこうした思考がぐるぐると続く経験、ありませんか?これがまさに、疲れが取れない正体のひとつです。
疲れが取れない3つの原因
①「完全にOFFになれる時間」がゼロ
ワーキングママの生活は、仕事中も子どものことが頭にあり、家にいる間も仕事のことが気になる——という”常時接続状態”になりがちです。
私自身も、夜勤明けで帰宅した瞬間に「今日の晩ごはんどうしよう」「長女の宿題チェックしてないな」と頭が切り替わってしまい、休んだ気がしないまま夕方を迎えることが何度もありました。
「忙しいから休めない」のではなく、”休んでいるつもりでも脳が休めていない”のが問題なのです。
②「自分のための時間」を後回しにしすぎている
アンケート調査でも、ワーキングママの9割が「仕事と育児の両立に悩んでいる」と答えています。その多くが共通して語るのが、「自分のことは最後でいい」という感覚です。
これ、実は精神科的に見るととても危険なパターンです。人は「自分の気持ちや欲求が少しでも満たされる時間」がないと、心のエネルギーが枯渇していきます。
私自身、三姉妹が小さかった頃は「自分のために時間を使うなんて贅沢だ」と思っていました。でも今振り返ると、あの頃がいちばん追い詰められていました。
自分を後回しにすることは、美徳ではなく消耗です。
③「ひとりで抱えすぎ」の構造が変わっていない
問題は、実際の負担量だけでなく、「誰にも言えない」「頼るのが申し訳ない」という心理です。職場では弱音を言えず、家では抱え込む——。
精神科で患者さんと向き合っていると、この”ひとり抱え込み”のパターンが、うつや不安障害の大きなリスク因子になることを痛感しています。
「助けを求めること」は弱さではなく、賢いセルフケアです。
解決方法:脳とこころに”隙間”をつくる
1. 「思考の切り替えスイッチ」を作る
仕事から帰ったら「手を洗う」「着替える」などのルーティンを”切り替えスイッチ”として意識的に使う。私は夜勤明けで帰宅した後、まずシャワーを浴びることを儀式にしました。
2. 「5分の自分時間」を予約する
お迎えの前の車の中で好きな音楽を聴く。たった5〜10分でも「自分のためだけの時間」が、心の充電を変えます。精神科の現場でも「微小な喜びの積み重ね」がメンタル回復の基本として重視されています。
3. 「言葉にして吐き出す」習慣を持つ
日記でもメモでも「つかれた」と言葉にするだけで、脳内のループが一度止まります。
今日からできる具体アクション
① 帰宅後の「切り替えルーティン」を1つ決める
手を洗う、着替える、お茶を飲む——なんでもOKです。「これをしたら仕事モードを終わりにする」という合図を作ってください。
② 寝る前に「今日よかったこと」を1つだけメモする
「今日、温かいご飯を食べられた」——本当に小さなことで十分です。ネガティブなぐるぐる思考を止めるために、脳の焦点を「できたこと」に向け直す練習です。
③ 週に1回、「自分の話を聞いてもらう時間」を作る
友人でも、パートナーでも、日記でも。ひとり抱え込みのループを断ち切る第一歩になります。
まとめ:疲れが取れないのは、あなたのせいじゃない
仕事も育児もフルで頑張っているのに疲れが取れないのは、あなたの能力や努力の問題ではありません。脳が休めていない、自分時間がない、ひとりで抱えすぎている——この3つの構造的な問題が積み重なっているからです。
私自身、20年以上精神科で働き、三姉妹を育てながら気づいたのは、「完璧にこなすこと」より「ちいさな回復を毎日積み重ねること」のほうが、長く走り続けるために大切だということです。
時間がない自分を助けてくれたのは、大きな解決策ではなく、5分の積み重ねでした。
プロとして現場で学んだこと、母として実践してきたこと——これからもこのブログで少しずつシェアしていきます。今日も、本当にお疲れさまでした。


